老後貧乏から下流老人に転落する分かれ目はどこか


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3つの「ない」で下流老人に!?

 話題の書、「下流老人」(藤田孝典著・朝日新書)と「老後破産~長寿という悪夢」(NHKスペシャル取材班・新潮社)を読んだ。どちらも、年金生活者が普通の生活から些細なきっかけで陥る貧困について、事例を紹介しながら問題解決に向けての提言を行っている。


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個人的には、生活支援の現場の実状から書かれた「下流老人」が興味深かった(「老後破産」は、テレビ局らしくジャーナリスティックな切り口で書かれている)。「下流老人」の著者の藤田孝典氏は、NPO法人ほっとプラスの代表理事として10年以上、埼玉県を中心に生活困窮者支援を行っている。

 藤田氏は著書のなかで、下流老人とは「生活保護基準相当で暮らす高齢者及びその恐れがある高齢者」と定義し、生活支援の実体験から下流老人には次の3つが「ない」としている。

 ①収入が著しく少「ない」 ②十分な貯蓄が「ない」 ③頼れる人間がい「ない」(社会的孤立)

 確かにその通り。この3つが「ない」状態だと、ちょっとしたきっかけで貧困に転じる可能性は高い。

 なかでも「収入」と「貯蓄」は密接な関係がある。高齢になるほど、病気や求人の年齢制限などにより、働く意志はあっても働けないケースが増える。そうなると収入はおもに年金だけとなるが、事例で紹介されている高齢者はみなさん、さまざまな事情で年金収入がかなり少ない。

 年金が少ないと、蓄えを取り崩しながらの生活をしなくてはならいため、あっという間に貯蓄が減っていく。健康状態が悪化すると、負のスパイラルから抜け出せなくなるのである。


2つの力が「ない」と、「老後貧乏」から「下流老人」に転落する!



 この連載は、40~50代(おもに男性)に向けて、定年後に「老後貧乏」にならないためのお金の知識と処方箋を伝えることがテーマである。テーマと「40代から備えたい!老後のお金クライシス」というタイトルは、昨年8月に担当編集者が決めてくれた。

 連載スタート時点では、NHKスペシャル「老後破産~長寿という悪夢」という番組は放送されていなかったし、「下流老人」も出版されていなかった。2014年9月にNHKスペシャルが放送されると、番組は大きな反響を呼び、今年4月に書籍化。「下流老人」が今年6月に出版されて以降、さらに関心が高まり、雑誌を中心に「老後破産」「下流老人」特集が次々組まれるようになった。

 先週、女性雑誌から「深田さん、女性が下流老人にならないためにはどうしたらいいですか」と取材依頼があったときには驚いた。女性雑誌までもが取り上げるということは「ブーム」になっているということ。ブームはしばらく続くことになるだろう。

 誰でも将来「下流老人」になる可能性はあるが、全員ではない。40~50代がまず心配すべきは、「老後貧乏」になることだろう。そもそも日本の年金制度は、現役時代の収入を100%保証する制度設計にはなっていないため、定年後は収入が大幅にダウンする。老後資金という蓄えがない限り、誰もが貧乏になるのである。

 今の40~50代は、多額の住宅ローンを抱え、ハイパーインフレ気味の子どもの教育費を負担し、自分たちもお金を使うのが好きな消費世代。上の世代に比べ、老後資金準備がままならない人が圧倒的に多い。

 FPである私の役割は、現役世代の「老後貧乏予備軍」を1人でも減らすこと。その詳細な方策についてはぜひ本連載のバックナンバーをご一読いただきたいが、それでは万が一「老後貧乏」に陥ってしまったとして、さらにその先の「下流老人」との分かれ目は、どこにあるのだろうか。

 私は“制度を知る・利用する力が「ない」”と“少し先を想像する力が「ない」”、この2つの「ない」によって、藤田氏が定義する「下流老人」という貧困状態に陥りやすくなると考える。


社会保障や福祉制度は「知らなきゃソン」であることを認識する

 セーフティネットとしての社会保障制度や福祉制度の多くは、「申請主義」。知らないと利用することができない、まさに「知らなきゃソン」なのである。専門家並みの知識を持つことは無理だとしても、困ったときには「何か頼れる制度はないだろうか」と役所に出向いて相談するという発想を、常に持っておくことが重要だ。

 意外に思うかもしれないが、会社員や公務員はこれが苦手。勤務先の総務部や人事部が自分に代わって「手続き」をしてくれる環境に長く置かれるため、「自分で調べる」「相談に出向く」ことに慣れていないのだ。出世が早く管理職が長かった人は特に要注意と言えるだろう。総務、人事部以外に部下も手足となってくれていたからだ。

「制度を知る・利用する力」は、70代や80代になってから身につけるのでは遅い。現役のうちから練習しておくことが肝心だ。まずは年老いた両親の日常を聞き出し、知らずに利用していない制度がないか調べることから始めるといいだろう(言うまでもなく、ここで妻任せにしてしまっては意味がない)。

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「少し先を想像する力」は割り算とかけ算ができればOK!

「少し先を想像する力」は、5年後、10年後の「自分のお金周り」を予測する力のこと。たとえば、退職金を手にしたとき、はじめて手にする数千万円のお金に気持ちが大きくなり、後先考えずに数年で300万円とか500万円を使ってしまう人がいる。残念ながら、こうした人は少なくない。

 その調子でお金を使い続けると、70歳になる頃には蓄えが底をつくことになるかもしれないのに気がつかない。というより、家計を予測する習慣を持ち合わせていない。年金生活に入ったら、蓄えを取り崩す前に必ず「割り算」すること。

 退職金を含めた老後資金から医療費の備え、住宅の修繕費用といった特別支出を差し引いて、90歳までの年数で割ると「1年あたりの取り崩し額の目安」がわかる。

 65歳時点で老後資金が3000万円あったとして、特別支出を1000万円と見積もると、残りは2000万円。90歳までの25年間で割ると1年あたりの取り崩し額の目安は80万円。意外に少ない金額となるのだ。

 いつもこの欄で書いているが「90歳までなんて、俺は生きてない」などと思っていてはダメ。長生きする前提で割り算するのがリスク管理の基本であるし、妻は90歳を超えて長生きする可能性は大だ。自分のことだけを考えてはいけないのである。


これからの出費は「かけ算」するといい。たとえば医療保険。退職直前セミナーの講師をすると、「子どもが社会人になって死亡保障が入らなくなった分、医療保険にたっぷり入りたい」と言う参加者が多い。会場で保険料の予算を尋ねてみると「月1万円」と答える人が結構いて、私は毎回驚く。

 月1万円、夫婦で2万円の保険料を60歳から80歳までの20年間支払い続けると(ここでかけ算)、総額480万円にもなる! 月5000円だとしても20年間だと240万円だ。これだけのお金が確実に手元からなくなるのである。

 公的な健康保険には、自己負担額が一定額を超えると超過分が戻ってくる高額療養費制度がある。一般的な所得なら69歳までは月9万円前後が最終的な自己負担になる。健保組合の付加給付が充実していると、月2万円が上限というケースも少なくない。70歳になると、自己負担の上限はさらに低くなることも知っておきたい。

 一方、民間医療保険は1入院「60日」とか「120日」といった日数制限があり、長期間の入院のすべてをカバーするわけではない。入院日額5000円・1入院120日型の医療保険から受け取れるお金は、1入院最大で60万円。手術をすると手術給付金が5万~20万円受け取れるが、それでも支払う保険料には届かないだろう。

 年をとると病気がちになるが、多くの場合、通院で薬をもらい治療を受ける期間が長くなる。忘れてはいけないのは、医療保険は原則、入院か手術をしないと給付金がもらえないということだ(通院給付金があったとしても、金額はごくわずか)。通院での治療費は、年金や老後資金から捻出することになる。

 支払う予定の保険料をかけ算し、健康保険制度や商品を知る力を持っていると、医療保険に頼る部分が少なくなり、年金収入や預貯金の目減りを数百万円単位で防ぐことができるのだ。

「自分のお金を予測する力」を身につけることはそれほど難しいことではない。お金を使うときにはその前に「割り算」と「かけ算」をすることを忘れなければいいだけである。ぜひ、実践してみてほしい。


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